これ質屋さんに入れてね、トーストでも食べて帰りなさい【Nolanの言葉の贈り物~高倉健『旅の途中で』】

お正月休みを利用してカリフォルニアに戻っています。

PTO(Paid Time Off : 有給休暇)ながらも午前と午後と2本の電話会議があり、気分的に今日はあまりゆっくり出来ないのは残念でしたが、合間を縫ってBook Offに行きました。

日本語の本はどうしても限られてしまいますが、勤務地では手に入らないので、あるだけ幸せです。特売コーナーを中心に16冊ほど買い込んできました。




高倉健の『旅の途中で』だけは$12でした。実際のものは文庫ではなく、単行本です。



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学生時代に有り金をはたいて行った遊郭。大雪の晩だったようです。さんざん待たされ、夜も明けた帰り際に遊女から指輪をもらう話など心に沁みました。

「これ質屋さんに入れてね、トーストでも食べて帰りなさい」

 それはたぶん、赤いガラス玉だったのかもしれない。

 けれども僕にとって、その指輪は間違いなくルビーの指輪だった。


そういえば、俳優座にいたという妻の高校時代の演劇部の先輩の話を思い出しました。公演後にご一緒させていただいた食事の席で左手薬指につけた指輪を見て、「結婚するんですか」と尋ねたようです。

「これ、男除け。風車の弥七にもらったの」― 「何か困ったときに」と、『水戸黄門』の中谷一朗がルビーの指輪をくれたというのです。

さて、当の高倉は即座に指輪を売って、仲間に景気よくおごってしまったようです。自分たちの学生時代を含めて男同士でよくある話ですが、スケールの大きさを感じます。

でも、時々ふと指輪のことを思い出すようです。

編集の方の力も大きいのでしょうが、文章も読みやすく良い本でした。読みきれていないエピソードが残っていて、楽しみです。

昨日読んだもう1冊、『生協の白石さん』は立ち読みでした。これについてはまた別に書こうと思います。




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