英語学習における「カタカナ発音による英語」の効用と限界についての私見(3)

(本稿はいずれ加筆修正を予定しています)

「意図した音」として認識されないと日本語でも「伝わらないケース」がある


先日、「ひとこと」で鉄を「ケツ」と言い間違えたアメリカ人の話があったが、皆さんも外国人による思わず笑っちゃう日本語のエピソードが一つ、二つあるのではないだろうか。ここでは一つ、こうした言い間違えをもう少し進めた思考実験をしてみよう。

仮に、ある国から来た外国人が日本語を話しているとしよう。ただし、彼女/彼は日本語の「お」の音を発声できず、「あ」と発声してしまうのだ。この時、何が起こるであろうか。

例えば、次のようなことが起こるかも知れない。


(外国人が話そうとしたこと → 日本人に聞こえた言葉  → 日本人が理解した内容)
「リンゴ、食べました」    → 「リンガ、食べました」   → 「凛が、食べました」
「雲が見えます」       → 「クマガ見えます」     → 「熊が見えます」

これらの例は架空の極端なケースだが、おそらく似たようなケースはあるのだろう。そして、似たようなケースが、我々が英米人を相手に英語を話す際にも多々起きているのだろうと筆者は考えている。

違いはある。日本では外国人に対して親切な日本人が多く、多くの外国人が日本語をうまく話せないことを知っている。そして、一生懸命、何を話そうとしているのかその「真意をくみ取ろうと努力」をする。

しかし、これはアメリカでは必ずしも当てはまらない。一部に比較的教養水準が高く、 日本人とのつき合いのあるアメリカ人は「日本人が起こしやすい英語のミスを勘案しながら」日本人の「Engrish」、「Japanglish]を理解しようする。「Your English is much better than my Japanse」と言いながら。

ただし、残念ながら、こうしたアメリカ人はむしろ少数派である。特に、駐在や出張、留学などでアメリカに滞在する多くの日本人は職場やキャンパスを離れた途端、「自分の英語が通じない」ことを思い知らされる。レストランやスーパーといった街中(まちなか)のいたるところで*。

次回は英語を構成する母音体系と日本語の母音体系の違いを調べながら、考察を続けたい。

 

余談

ところで本稿の初回で、最近「悟ったことがある」、つまり何かが腑に落ちたと書いた。実は1ヶ月ほど前に、過去自分の英語がうまく伝わらなかった複数のケースに対して、それぞれその推定理由を考えていた。その際、ひょっとして英語の個々の音を一つの状態(座標軸、次元)とみなした場合、学生時代に学んだ物理(特に量子力学で使われる)の次元とその縮退という概念がアナロジーとして使えるのではないかと気がついた。

量子力学や縮退と書くと戸惑う読者も多いと思うが、ここでは さほど難しく考える必要はない。例えば我々の空間は(相対性理論を除くと)一般に3次元であるといわれるが、これを1次元少なくして2次元とすると(縮退)、立体として認識するために必要な全ての情報が揃わず、我々は平面としてしか認識できない。

今回使用した思考実験は翻って日本語に対してこのアナロジーを適用させてみた。日本語は「あ」、「い」、「う」、「え」、「お」という5つの母音をベース(完全基底系)に成り立っているが、仮に「お」音が「あ」音に縮退している場合には、先に述べたような「お」音が「あ」音に「重ね書き」されてしまい、意味が伝わらなかったり、誤解を引き起こす可能性が生じてしまう。


*いや、実は職場でも本当はある。意見を戦わせたり、相手を説得しなければいけない時にはアメリカ人もそこまでお人好しではない。「I dont't undestand what your are saying 」あるいは「I don't understand what you're talking about」・・・ 幸い私自身は言われていませんし、そう言わせませんが(笑)。


The important thing is to identify the "future that has already happened"
Peter Drucker






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