The Japan Newsを使って私も翻訳勉強~

といってもこちらで簡単には手に入らないし、高いでしょう・・・

そこで思いつきました!このアルコムの某A氏(バレバレ)の日記を始め、Web上で見つけられる模範解答を使ってもそれなりに勉強できるのではと。

私は必要に応じて翻訳の真似事をする機会はありますが、翻訳家ではありません。また、どちらかというと、お互いの真意を誤解ないようにシンプルに伝えたいという思いから、意図的にかなり"意訳"をします。

私自身はオーラルのコミュニケーション力、そしてTime等など英文の読解力とスピードを上げたいという志向が強い一方で、翻訳も少しかじってみることは英語力向上になるのではと考えるようになりました。

課題意識は大きく二つです。
1. 翻訳の基本的なことをhands-onで習得する
2.  「意訳はどこまで許されるのか」、ある程度明確な判断基準を身につけたい

翻訳はど素人の私なので時間をかけながらとなるでしょうが、勉強してみることにしました。

課題文

今回の課題はこちらの素晴らしい日記からです。
The Japan Newsの翻訳コンテストで優秀賞を頂きました!


昨年9月に亡くなった山崎豊子さんの代表作の一つ、「華麗なる一族」は、銀行を舞台にした人間ドラマだ。主人公の頭取・万俵大介が、手段を選ばずに合併を目論(もくろ)む姿が描かれている。

執筆にあたって、山崎さんは銀行の取材を重ねたが、相当な困難を伴ったようだ。〈その閉鎖性は医学界よりさらに聖域であることを痛烈に感じた〉。あとがきの中で、そう振り返っている。

銀行に限らず、暗部を抱える企業は少なくない。それがしばしば、不祥事という形で表に出る。

私の試訳


Toyoko YAMASAKI died last September. "The Grand Family - Karei Naru Ichizoku" is one of her best known novels. This novel illustrates a human drama set in a bank.

The president of the bank, Daisuke Manpyo is the lead character. He is depicted as a banker who does not mind using any measures to pursue a merger plot.

To prepare, Yamasaki had so many interviews and studies on banks and the surroundings. However, she had to go through many tough predicaments.

She had a very sharp feeling that it had formed a distinct closed circle, sacred and untouchable. She felt it was harsher than [notorious] medical community's - she reflected in her afterword.

Banks are not only the example. Not a few* companies also have their dark side as well.

This often becomes the source of a scandal as it emerges.

英訳に際して、気になった点

1.  > 山崎さんは銀行の取材を重ねたが
銀行の取材とは銀行は1社だけ取材したのか、数社なのか、それとも業界を取材したのか?
銀行の閉鎖性といったときに、その特定の銀行組織を意図しているのか、一般的に業界そのものを意図しているのか・・・?
(銀行は銀行と表記しているが、その後医学"界"と出てくる。その後、暗部を抱える"企業"と出てくるが、きっちり理解しようとすると彼女の後書きを読みたいところ)

2.  > She had a very sharp feeling, that it had formed a distinct closed circle, sacred and untouchable.
上記の回答次第で、community, organization, circleといった言葉を本来使い分ける必要がありそう

3. > それがしばしば、不祥事という形で表に出る
「それ」とは暗部という理解でよいか?


模範英訳(我らがあらちゃんさんのもの)と比較しながらの反省点

1. last Septemberは書いた時点にもよるのでしょうが、September last yearとするのが正しいですね!

2. 代表作は模範訳ではoutstanding works。私も始めmasterpiesesを使っていたのですが、代表作 nearly equal to 傑作とは言い切れないだろうと思い、best knownと置き換えました。

3. 〈その閉鎖性は医学界よりさらに聖域であることを痛烈に感じた〉
そうか、この括弧の意味は言葉を引用していたのですね・・・ であるとすると、sheで受けた私は大失敗です。

4. この部分、ちなみに模範訳では次の通り。
 “I keenly felt that the closed nature [of the bank] was even more sacred than that of the medical community.” 私はやっぱり意訳し過ぎていますね。

5. 最後の文、模範訳はwhich often comes to light in the form of scandal. この最後のin the form of scandalという言葉は痺れますね!

個人的には自分の訳も(やっぱり意訳が強いかもしれませんが)比較的気に入っています。リズム重視でnot negligible や not a fewではなく、あえてmany companiesとしましたが、これは特にやり過ぎ( = 誤訳 )か・・・? 「少なくない」を何かテンポを崩さない英語で置き換えられないものか・・・ *)

あと、最後の文をインパクトのある単数Thisで受けたかったので、その前でちょっとごまかして、their dark sideと単数、あるいは集合名詞(でしたっけ?)にしています。


アルコムの日記だけから、こんなに楽しい勉強をさせていただきました♪

*) 当初、試訳の方も承知の上でmanyとしていましたが、行き過ぎを承知でその訳語を使うのも問題ありと反省しました。特に英語を学び始めたばかりの方たちには混乱を与えかねず、訂正しています。申し訳ございませんでした。


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コメント

  1. あらちゃん
    2014/05/29 18:06
    Nolanさんの訳、表現力ありますね。やっぱ、米国での生活やTime誌を読んでいるだけのことはあります。以前はThe Japan NewsのHPで翻訳コンテストの訳例と講評が2週間近く掲載されていたんですが、本日確認したらないですね。JNスタッフによると、翻訳コンテストが掲載される木曜日は売り上げ部数が伸びるそうです。人気コーナーなのでHP掲載をやめたのかも。


    nikkun
    2014/05/29 18:19
    朝ドラの「花子とアン」の村岡花子さんは、翻訳家ですが、本が好きで行間を読むのが得意なのではないかと思います。
    日本語というより、日本人の使う日本語はその場の気持ちに合わせてでてくる表現が多く、論理的ではないものも多いかもしれません。私も字面につられて訳す時もあるのですが、実はそういう内容ではないことも多いと思います。英語、日本語の相互の功罪を心得ておくようにしています。
    説明文などでは理路整然とかける英語が便利ですが、人間関係における直接的な会話になるとむしろ日本語の方がいいのかなと思うときもあります。
    昨日の「雨後の筍」もmushroomが出てきましたが、他に英語を話す人たちは、どんなイメージを描いているのかなあと考えていました。
    映画の字幕なども良い悪いは別にして、そこへ持ってったかーと発想の転換の勉強にもなります。


    anne-sun
    2014/05/29 20:31
    勉強になりました。
    日経にも週一(?)ぐらいに、トレンディな記事を日本語と、英語両方で載せていますが。自分では考えられないような表現方法を見て、翻訳の仕事はすごいなと思っています。簡単に見える文章でもいざ自分で試してみるといかに大変かわかります。


    Nolan
    2014/05/29 22:31
    あらちゃんさん、いや、先生
    ありがとうございます!あらちゃんさんの訳は本当に勉強になりました。

    JNのHP、実は私も探しました(笑)。でも、お金の取れるコンテンツなので、当然でしょう。私も日本にいれば、間違いなく購入します。

    もう数編掲載していただいた模範訳で引き続き勉強させてください!


    Nolan
    2014/05/29 22:44
    nikkunさん、こんばんは~
    > 英語、日本語の相互の功罪を心得ておくようにしています。
    > 他に英語を話す人たちは、どんなイメージを描いているのかなあと考えていました。

    相変わらずnikkunさんの含蓄のある言葉にハッとします。上記の点は私も無意識下だけでなく、明確に意識しようと思いました。

    確かに日・英、それぞれ良さ、そして限界があると思います。言語体系、そして特徴の違いは大きく、相互の変換は簡単ではありませんね。

    私もテクニックの部分、枝葉末節の部分でなく、それぞれのイメージ、コアのシンボル・メッセージの部分を射抜けるような言葉を使いたいのですが、まだまだです・・・


    Nolan
    2014/05/29 22:48
    > 私もテクニックの部分、枝葉末節の部分でなく、
    あっ、あまりテクニック走りすぎたり、枝葉末節にはまり過ぎないという意味です~


    Nolan
    2014/05/29 23:13
    anne-sunさん、ありがとうございます~
    なるほど、日経も含めて、その気になって探せば日英比較したものがありそうですね!

    私もプロの方々はさすがだと思います。そして惚れ惚れするような表現に出会ったときには、本当にうれしくなってしまいます。

    今回の課題は実は簡単ではありませんでしたし、仮に仕事であれば、私のレベルでもまだまだ時間を書けることでしょう。実は日本文そのものが完全に理解できていないので・・・ 大筋では理解はあっていると思うのですが、もう少し深く理解しようと思うと、彼女の後書きくらいは読んだり、まだまだリサーチするでしょう。

    あと、意訳しすぎている部分は、多少オリジナルに忠実な形に戻します(笑)


    Nolan
    2014/05/29 23:21
    おっ、読み直したらthatの前、カンマが残っている・・・ お恥ずかしい、訂正しました・・・
    少しでもキレのある表現を探すのに夢中になりすぎて、構成の部分がおろそかだったんですね。

    やはりプロの方たちはすごい!

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