中国の人々の本音はテレビ画面から伝わってくる映像だけではわからない

池上彰の教養講座は相変わらず面白い。

この場では、あまり政治的な話題でコメントのやり取りをしないつもりであるが、示唆に富んだ内容であり、紹介したいと思う。
中国の本音を見極める難しさ


中国は共産党の一党独裁だ。国民に対して、自らの正当性を示し、求心力を持たせるために「愛国教育」を行ってきた。そしてこの愛国教育の根本は「日本の侵略から国民を救った、偉大なる中国共産党」である。


国家も指導者も政治的に危機になると「外敵」を作って、求心力を高めようとすることがある。民主化運動が盛んになったりして、共産党の支配が揺らぐ場合には、必然的に反日運動がエスカレートする構造だ。

中国では未だに支持率調査すらないが、指導部はインターネットの掲示板等で国民の反応を確かめているようだ。党や政府に対する批判はあったとしても削除されてしまうだろうから、反日的な内容のものが多い。

冒頭で紹介された故・胡耀邦元中国共産党総書記のように、中国ではかつて親日派だったり、学生らによる民主化運動に理解をみせる要人もいた。しかし歴史的にはこうした親日派、民主化運動容認派の要人は悉く失脚してきた。

この様子をリアルタイムで見てきた今の要人たちには「親日派」というレッテルを貼られることに対する無意識な恐怖が刷り込まれている可能性も高い。

 一方、建前の部分とは別に、日本製品や日本文化に対して憧れを持つ若者も少なくないようである。国民も、そして指導部もひょっとして皮肉なことに、本音を語れない構造に陥ってしまっているとも思われる。

四半世紀が経った天安門事件ですら、タブーである。

中国情勢、日中関係を考える際には、この建前に隠れた本音の部分にも注意する必要があり、4月の故・胡耀邦氏の長男の訪日は重要な意味を持つ


以下、一部抜粋です。

 4月、故・胡耀邦元中国共産党総書記の長男である胡徳平氏が来日し、首相や官房長官など日本政府関係者と相次ぎ会談したという報道がありました。父親の 胡耀邦氏は親日派で、日本人にもなじみの深い要人でもありました。日中関係が極めて厳しい局面にある中の来日だっただけに、その狙いについて様々な臆測が 浮かんでいます。
 


「君たちが住んでいる中華人民共和国をもっと愛そう。中華人民共和国をつくったのは誰か。中国共産党である。中国共産党を愛そう。なぜ共産党を愛するの か。かつて日本の侵略によって中国の人民は大変悲惨な目に遭っていた。その悲惨な目に遭っていた人民を解放したのが中国共産党である。だから共産党は素晴 らしい」
 


 危機に立たされた国や独裁国家は、外に敵をつくり出すことがあります。中国内で学生たちによる民主化運動が起き、共産党の支配体制が揺らぐようなことがあれば、外に敵をつくって国民を団結させるのです。
 


 今後の関係を考えていく上で理解しておかなければいけない事情があります。中国指導部が日本に強硬姿勢を取る大きな理由の一つは、中国に言論の自由、表現の自由がないという問題と深く関わっている点です。
 


 
指導部はそれを気にせざるを得なくなっている現実があります。うっかり日本政府と妥協したり、日本の首相と握手をして関係を改善したりしようとすると、国 民から反発され、支持が揺らぐのではないかという恐怖感があります。政府も事態を打開しにくくなってしまっている可能性があるのです。
 


 しかも中国の首脳たちは、「親日」だったり、「民主化容認」をしたりしたかつての指導者たちがどうなったのか、その歴史をリアルタイムで見ています。うっかり日本政府と仲良くなるわけにはいかないという恐怖が刻み込まれている可能性があるのです。



 つまり「共産党を愛そう」という運動を進めるためには、その前の時代に日本がいかにひどいことをやってきたかということを強調することになります。つまり、結果として反日教育が強まっていったのです。
 


 中国との外交で建前が出てくると、お互いにぶつかり合いますが、本音の部分をどう見極めるのかが大事なのです。天安門事件から25年の節目に、日中双方に信頼されている元共産党総書記の長男を迎え入れたことは非常に重要な意味を持つと思うのです。
 





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